設計図

毎朝、最寄り駅で建設途中のモデルルームを目にする。
その度思い出すのは、数年前まで現役だった父の姿。
私の父の職種は鉄骨業。
設計図書いて、鉄骨組んで、家を立てて、ペンキまで塗る仕事。
いわゆる建築一式を自分の手でやってしまう職人です。


昭和一桁生まれの父が、元々は競輪選手に憧れ、親の猛反対で夢を断念し、サラリーマンになった。
結婚して脱サラをし、建築士・溶接等のあらゆる資格を取り、一代で○○工業を立ち上げた。
工場も作ってしまった。
私は、父が日曜日の夕方、家で図面を引いてる後ろ姿が大好きだった。
直角に交差された定規で次々と図形を描いてひとつのものにしていく姿が。
小さい頃は、よくトレースを持って「青焼き」のおつかいに行かされた気がする。
青く印刷された紙の手触りも大好きだった。
きっと父は、私に、現場監督としてでも後継者になって欲しかったんだろうな…と思うと、一代で終わらせてしまった○○工業が残念で仕方がない。
だからずっと60歳過ぎてもやめる事が出来ずに現役でいたんだろうな。
高校受験の時、一度だけそんな話をしたのを覚えてる。
何の目標も無かった当時、情報処理科と建築科のどちらを受験するかで悩んでいた時だった。
結局私は前者を選択したわけだが、父はここで後継者を諦めてたわけではなかった。
高校を卒業する時も同じような話をした(笑)
結局、今に至る。
何年か前、大手建築会社に派遣社員として勤めた時。
とってもCADに興味があったし、建築業界に関われるのがとっても嬉しかった。
業界の雑誌や新聞を毎日毎日読んでたような気がする。
やっぱり「血」だな…って思った(笑)